偶然の祝福
小川洋子/〔著〕
2000年12月
角川書店

この作家の本は初めて読んだ。
始めは、「博士の愛した数式」という本を探していたのだが、
売り場になく、同じ作家のこの作品を買った。
目次をみて、一話目の「失踪者たちの王国」という題にひかれた。
全部で7つの連作小説が入ってる。
なんだろう、この引き込まれる感じは。
どの話も、日常生活がただただ描かれている。
たんたんとした感じで話は進んでいくんだけど、
気がつくとものすごく引きこまれてた。
たんたんとした文章には、偏見のない純粋さっていうのかな。
(人が当たり前だって思ってることでも結構おかしなこともあるわけで、
それに対して、素直におかしいよなって思えるような純粋さ)
それと、その純粋さゆえに傷つく繊細さがあるような。。。
でも、たんたんと日常を描いてるようで、その繊細さがゆがみを生んでるような感じ。
ちょ〜パラドックスだなぁ。
読んでるうちに引き込まれて、自分も迷い込んでしまったような錯覚を覚えました。